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税制適格ストック・オプション
ストック・オプションとは何か
会社法上の新株予約権は、一般的に資金調達の手段であり、第三者に対して有償で発行されます。これに対して企業価値向上を目的としたインセンティブかつ報酬として、発行会社の役員・従業員に対して、無償で発行される新株予約権(コール・オプション)がストック・オプションです。ストック・オプションは多くの企業で、株式報酬の一環として利用されています。2006年5月1日の会社法施行に伴い、ストック・オプション会計基準(企業会計基準第8号「ストック・オプション等に関する会計基準」)も施行され、「ストック・オプションとは、自社株式オプションのうち、特に企業がその従業員等に報酬として付与するものという。」と定義され、ストック・オプションを発行する場合には、会計上の費用認識が必要とされています。費用計上の金額はストック・オプションの公正価値分となるため、ここでストック・オプションの評価が必要となります。
発行規模においても、ストック・オプションは、企業が必要な資金を調達するために発行する大規模な新株予約権(ワラント)と異なり、多くても発行済株式数の数%程度というのが一般的です。このように、発行目的が企業価値向上を意図したインセンティブとしての報酬であるストック・オプションにおいては、次の2点が重要な前提となります。
(ⅰ)付与対象者は発行会社及び100%子会社の役職員であること
自社の役職員以外の者への無償付与となると、その発行の合理性に疑義が生じる可能性があり、また、財務局等への提出すべき書類もハードルが一段上昇することとなるため、注意が必要です。
(ⅱ)報酬であり、付与対象者に対して無償で発行されること
一般的に権利行使時の税金の優遇措置を享受するために、税制適格ストック・オプション(後述)を発行することが多く、その要件で無償という形で発行されることが必要となります。
また発行するストック・オプションの行使条件においても、インセンティブとしての効果を上げるため、以下のような株価条件、業績条件や在籍条件を付加することも考慮されています。
● 一定の「株価」水準を達成していなければ行使できない。
● 一定の「利益」水準を達成していなければ行使できない。
● 継続的に発行会社に勤務していなければ行使できない。
様々なストック・オプションの発行パターン
➀ 無償構成と相殺構成
ストック・オプションと引き換えに払い込む金額の取り扱いには、無償構成と相殺構成の2種類が存在すると言われています。もともと無償で発行される新株予約権のことをストック・オプションと定義されていますが、その発行方法として、発行会社が付与対象者に金銭の払込を求めずに無償で発行する方法と、ストック・オプションの価値相当分の報酬債権を付与対象者が持っていると仮定しその債権と相殺することによりストック・オプションを付与する方法の2種類があります。前者は、無償構成のストック・オプション、後者は相殺構成のストック・オプションと呼ばれています。相殺構成は、株式報酬型ストック・オプション(1円SO)でよくみられる発行方法です。
なお、金銭の払込を報酬債権と相殺するという方法は、付与対象者が一応の払込をしている有償型のようにも捉えられますが、付与対象者自身の実際の金銭の出資はないため、実質的に無償発行と同様とみなされ、ストック・オプション会計基準が適用されます。
➁ 税制適格と税制非適格
ストック・オプションの発行にあたり、発行内容、取得者や権利行使における一定の要件(租税特別措置法第29条の2に記載されている条件)を満たすことで、税制面での優遇を受けることが可能となります。これら要件を満たしたものを、税制適格ストック・オプションといい、日本におけるストック・オプションの発行件数では最も多い発行事例です。しかしながら、満たすべき要件が多く、また、運用が複雑なため使い勝手が悪いという面も持ち合わせていると言われています。
プルータス・コンサルティングの強み
プルータス・コンサルティングは、創業以来10年以上、上場・未上場を問わず数多くの税制適格ストック・オプションの発行に際し、税制適格要件を満たすための設計をサポートし、会計処理のための公正価格算定を行っております。
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