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デット・エクイティ・スワップ
デット・エクイティ・スワップ(DES、Debt Equity Swap)
デット・エクイティ・スワップ(DES)とは、企業が有する負債(Debt)を資本(Equity)に交換(Swap)する取引をいいます。法律上は、債権者が保有する金銭債権を企業に対して現物出資し、これの対価として株式が交付されることとなります。デット・エクイティ・スワップを実行する企業としては負債を圧縮・削減することにより財務健全性を高めることができ、債権者の視点からは債権が株式に転換されることにより流動性が高まるというメリットがあります。
デット・エクイティ・スワップは、債権の現物出資という形式をとることから、現物出資に関する会社法の一連の規制を受けることとなります。具体的には、現物出資財産の価額につき原則として検査役の調査を受けなければなりません(会社法207条第1項)。
ただし、検査役の調査には時間と費用を要することから、現物出資財産の価額の相当性について弁護士、弁護士法人、公認会計士、監査法人、税理士又は税理士法人の証明を受けた場合には、検査役の調査を要しないものとされている(会社法207条第9項第4号)。そのほか、会社法では、弁済期の到来した金銭債権を帳簿価額以下の価額で出資する場合については、検査役の調査を不要としています(会社法207条9項5号)。
当該規定に関連して、実務においては、検査役の調査等を省略するために、デット・エクイティ・スワップの対象となる債権の債権者が、当該債権に関する期限の利益を放棄するという手法が採用されることが多く、期限の利益を放棄することによって当該債権を弁済期が到来した債権と同様のものとして、検査役の調査等の省略を図ることが一般的に行われています。
デット・エクイティ・スワップの留意点
デット・エクイティ・スワップを実行するにあたり重要な留意事項としては、債務者側における債務消滅差益による課税リスクの論点が挙げられます。すなわち、債務者においては、デット・エクイティ・スワップにより消滅する債務(負債)の帳簿価額が、デット・エクイティ・スワップに伴い株式が発行されることにより増加する株主資本の額を上回る場合には、消滅した債務と増加する資本の差額が税務上債務消滅益として課税の対象とされてしまうリスクがあります。
この点、デット・エクイティ・スワップによって増加する株主資本の額は、税務上はデット・エクイティ・スワップによって消滅する債権(債務)の時価として扱われているため、上記の論点は、実質的にはデット・エクイティ・スワップの対象となる債権(債務)の時価と帳簿価額の比較がポイントとなります。
一般的には、債権(債務)の時価を算定することは困難なものとされていることも多いため、デット・エクイティ・スワップを実施した債務者に対して債務消滅益の認定がなされるケースは少数ですが、数ある事例の中にはデット・エクイティ・スワップによる債務消滅益の認定に関して税務訴訟に発展したケースも存在します。
このような課税上のリスクを軽減するためには、デット・エクイティ・スワップの実行に際して、対象となる債権(債務)の時価を適切に評価したうえでスキームを構築する必要があります。
プルータス・コンサルティングの強み
プルータス・コンサルティングは、デット・エクイティ・スワップに際して対象となる債権(債務)の時価評価を実施し、デット・エクイティ・スワップの実行をご支援いたします。
※ デット・エクイティ・スワップに関する上記の論点については、レポートNo.24「デット・エクイティ・スワップを取り巻く諸制度の再整理」にて詳細に解説しているため、そちらも併せてご参照ください。
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