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No.
162

【税制改正】発行会社自身による株式管理スキームについて(2024年9月30日号)

Topic. ► 発行会社自身による株式管理スキームについて


 

はじめに

令和6年度税制改正によりストックオプション税制の適用を受けるための要件が見直されました。経済産業省のWebサイト「ストックオプション税制」には、令和5年度税制改正以降の一連の改正の内容が取りまとめられています。
改正の主な点は、以下の通りです。
(a) 年間権利行使価額の限度額の引き上げ
(b) 権利行使期間の延長(令和5年度税制改正)
(c) 社外高度人材に対するストックオプション税制
(d) 経過措置
(e) 発行会社自身による株式管理スキーム
本稿では、これまでのPLUTUS NEWSで詳細に関して取り上げていなかった(e)「発行会社自身による株式管理スキーム」について取り上げます。

 

発行会社自身による株式管理スキームの概要

これまで、税制適格ストックオプションは、証券会社等による株式の保管委託を要することとされていましたが、今般の改正により、権利行使によって交付される株式が譲渡制限株式である場合は、これに代えて発行会社による株式の管理も可能となりました。

出典:経済産業省「ストックオプション税制

 
このスキームを採用する際に必要となる具体的な手続きは、経済産業省のホームページに以下のセクションに分けて掲載されています。
➀ 役職員等がストックオプションを行使して株式を取得した場合
➁ 役職員等がストックオプションを行使して取得した株式を譲渡する場合
➂ 上場(申請)時の対応
 
➀、➁については「区分管理の方法として経済産業省大臣が定める要件」や租税特別措置法に基づいて、区分管理帳簿を作成・保存する、異動調書を作成・提出する等、通常の株式とは区別して適切に管理する対応が権利者及び発行会社に求められる旨が解説されております。
また、区分管理帳簿は経済産業省の「ストックオプション税制」にExcel形式でフォーマットが公開されております。
 
➂については、上場にあたって株式の譲渡制限が撤廃されるタイミングと株式振替制度へ移行するタイミングが同時になるように調整する必要がある旨が記載されております。(以下の図をご参照ください)

出典:経済産業省「ストックオプション税制 発行会社自身による株式管理スキーム 租税特別措置法施行令第十九条の三第九項第二号に規定する対象株式等の区分管理の方法

 

なお、留意が必要なケースとして、当初はIPOを目指して非公開会社から公開会社に移行し、直前になってIPOが延期、あるいは中止となってしまうようなケースが考えられます。
最終的にIPOを断念して公開会社のまま発行会社がM&Aをされる場合、権利行使により交付される株式は「譲渡制限が外れた株式」となりますので、前掲の自社管理の要件を満たさなくなります。
 

おわりに

今回ご紹介した発行会社自身による株式管理スキームを含め、令和6年度の税制改正により税制適格ストックオプションの要件が緩和され、今年中であれば過年度に発行したストックオプションについても経過措置の適用が可能となるなど、これまでより幅広くストックオプションのスキームを選択できるようになりました。
他方で、選択肢が増えたことでどのスキームが今の状況に最適なのかが見えにくくなった部分もございます。そのような際は是非一度、弊社にご相談をいただければと存じます。
 

 

執筆者紹介


林 俊宏 < ストラテジー・アンド・トランザクション部 コンサルタント >
大学卒業後、SMBC日興証券にて主にストックオプションの管理業務、上場企業の持株会運営サポートに従事。より専門的な支援を行うためプルータス・コンサルティングに入社。入社後は、幅広い企業に対してストックオプションなどのインセンティブ・プランの設計や資本政策に関する提案を行っている。


株式会社プルータス・コンサルティング 広報担当

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