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No.
115

有償新株予約権型コンバーティブル・エクイティの公正価値評価(2020年10月30日号)

Topic. ► 有償新株予約権型コンバーティブル・エクイティの公正価値評価


 

スタートアップ企業においては、創業者が保有する普通株式に比べて優先的な条件が付いた優先株式による資金調達が良く使われているが、優先株式は発行条件の交渉・契約書の締結等に時間を要することが難点になる場合がある。
特に、シード期の資金調達においては、比較的少額の金額をクイックに調達したいニーズがあり、それに応える調達手段として、最近では有償新株予約権型コンバーティブル・エクイティ(以下、CE)が用いられるケースが増えてきている。

※日本では、株式会社Coral Capitalから契約書雛形「J-KISS」 が無償で公開され活用事例が多い。

CEとは、投資家から新株予約権として資金調達し、一定期間内に次回の資金調達が実行されることを行使条件として、株式に転換するスキームである。
CEの典型的には、以下ような条件が設定されるケースが多い。

● 次回資金調達による転換期限は、1.5年後程度
● 次回の資金調達時にCEが転換される株式数 = CE払込金額 ÷ 転換価額
● 転換価額は、以下のいずれか低い方
 ― 次回の資金調達時に発行される株式の発行単価 * ( 1 – ディスカウント率(1)
 ― 上限額(キャップ)(2)
   (1) 20%と設定されることが多い
   (2) 次回の資金調達時に発行される株式の発行単価が高くなればなるほど、転換価額が高くなり、転換できる株数が小さくなってしまうため、
     転換価額の上限額を設定してCE保有者が転換できる株式のミニマムの数を確保する働きをする。

● 転換前にM&Aにより会社を売却した場合には、発行価額x [●]倍を返済してもらう
● 資金調達が発生せず満期を迎えた場合同額には、「発行価額 ÷ 上限転換価額」で得られる数で普通株式に転換

 

上記のように、CE出資時にはバリュエーション交渉をすることなく、次の資金調達時の発行株価に応じて発行株式数が決まるので、優先株式に比べて簡易な手続きで資金調達が可能となる。

もともとバリュエーションの交渉の必要がないのがCEの一つの特徴と考えられるのだが、上場会社がCEを引き受けた場合には、投資時及びその後の会計処理において会計監査人から公正価値の検討を求められることがあり、最近は弊社でもこのような目的でCEの第三者評価の依頼をうけるケースが出てきた。

CEの公正価値評価は実務において確立した手法がないのが現状であるが、ファイナンス理論からは、CEは対象会社に対する貸付債権(+ コールオプション)のようなポジションになるため、弊社ではCEの価値を、主にオプション価格法(the option pricing method)等を用いて評価しており、その評価結果が弊社のクライアントの会計処理でも採用されているケースが増えてきている。

このような新しい金融商品の会計処理目的の評価にあたっては、監査法人との対話が重要であり、海外でのプラクティスも参照するなどして外部への説明可能性を高めることも肝要である。

 

 

執筆者紹介


岡野 健郎 < 執行役員 マネージング・ダイレクター >
M&A・組織再編を目的とした事業価値評価、株式価値評価、株式交換・合併比率の算定、フェアネスオピニオンの提供、特別委員会への財務アドバイザリー、財務報告目的の評価、税務目的の評価、優先株式・新株予約権の評価などのサービスを、20年以上にわたって提供している。2017年にプルータスに参画以前は、PwC(東京及びロンドン事務所)のバリュエーション部門で、国内案件のみならず、クロスボーダー案件も数多く手がけた。PwC以前は、大手事業会社の財務部10年、スターンスチュワート社でのEVA導入等の財務コンサルティング業務2年の経験を有している。


株式会社プルータス・コンサルティング 広報担当

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