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譲渡予約権 ー既存株主の希薄化を回避するインセンティブや将来の事業承継に活用できる仕組みー(2021年3月31日号)

Topic. ► 譲渡予約権 —既存株主の希薄化を回避するインセンティブや将来の事業承継に活用できる仕組み—


今回のPlutus Newsでは、既存株主の希薄化を回避する(※1)インセンティブや将来の事業承継に活用できる仕組み「譲渡予約権(相対コール・オプション契約)」についてご案内します。
(※1) 譲渡予約権の対象とする株式を保有する株主の比率は低下します。
 
▼ 譲渡予約権とは
相対のデリバティブ取引のコール・オプション契約のことをいいます。
以下本稿では「譲渡予約権」という呼称を併用します。

 
▼ 譲渡予約権(相対コール・オプション契約)
株主が保有している株式をある一定の条件の下で他者が購入できる権利のことです。
新株予約権は、発行会社の金庫株または新規発行株式を購入できる権利を発行会社と付与対象者間で契約し
株価上昇時においても権利行使価格で株式を取得することができるコール・オプションであるのに対し、
譲渡予約権は、既存株主の保有株式を対象にその付与対象者とのコール・オプション契約を締結します。
新株予約権と同様に、株価上昇時においても権利行使価格で株式を取得することができ(取得コストの固定化)、上昇した株価と権利行使価格の差益(キャピタルゲイン)を得ることができます。
譲渡予約権は会社が行う施策ではなく、株式保有者(大株主等)が独自の判断で相対取引を行うことが特徴です。

 

 
 
▼ 事例:活用できる場面
Ⅰ.ストック・オプションを導入したいが、株主と合意した潜在株式の発行可能枠に余裕がない/株主に同意を得られない場合
大株主等の保有する株式を対象とするため発行済株式数が増加せず希薄化が生じません。大株主等が任意の付与対象者に相対でコール・オプションを付与するため、他の既存株主に経済的な影響なく株式を付与することが可能です。
 
Ⅱ.創業者の保有する株式を後継者(候補)に譲渡したい場合
● 株式保有者・・権利行使に一定の条件を設定した譲渡予約権を活用することで、条件を満たさない場合には譲渡が発生しないため、後継者(候補)に一定条件を達成するためのコミットメントを求めることが可能となります。
● 付与対象者・・権利行使に一定の条件が設定されるためモチベーションの維持に繋がります。また権利行使代金の支払い時期は条件達成以降となるため、付与対象者の権利行使代金の準備に時間をかけることが可能です。

 
<手続きが簡便>
株式保有者と対象者の相対取引であるため、発行会社自身が関与するものではありません。そのため、会社側で取締役会や株主総会決議といった機関決定の必要がなく、簡易な手続きでの導入が可能(※2)です。
(※2) 譲渡制限会社(非公開会社)では株式譲渡時に譲渡承認手続きが必要となります。


注}実際の導入にあたっては、税理士・弁護士の事前相談が必要です。
 
▼ まとめ
譲渡予約権を用いることにより、事業承継や新たなインセンティブの手段、また株式保有者の持分調整など様々な場面で活用することができます。
新たなインセンティブの手段として、ベンチャー企業であれば上場時の潜在株式比率は10-15%が望ましいとされるなか、株式保有者(大株主等)の保有株式を対象とした相対取引を行うことで、既存株主の希薄化を生じさせず、またオプションを付与したい対象者と個別に取引することが可能です。
事業承継に関しては資本政策の一環として、退職/退任してしまった株主が保有する株式を対象に現役職員と譲渡予約契約を締結することで、株主の持分調整や上場時などのキャピタルゲインの適切な分配が可能です。
プルータス・コンサルティングは、相対コール・オプションである譲渡予約権の取引について、その公正価値に関する設計・評価をご提案しております。
譲渡予約権についてより詳細にお知りになりたい場合は、直接お問い合わせフォームよりご連絡ください。

 

 

▼ 導入事例

株式会社ユーザベース
 
● 株式保有者(以下「譲渡人」と記載)・・非常勤取締役 梅田優祐氏 ※2020年末に代表取締役CEOを退任
● 対象者(以下「譲受人」と記載)・・発行会社の役職員56名



(2021年2月16日 適時開示より抜粋)

株式会社PKSHA Technology
 
● 株式保有者(以下「譲渡人」と記載)・・取締役 山田尚史氏
● 対象者(以下「譲受人」と記載)・・発行会社または発行会社の子会社・関連会社の取締役及び従業員
  ならびに顧問・業務委託先などの社外協力者



(2020年6月22日 適時開示より抜粋)

 

 

執筆者紹介


西本 梨子 < コンサルティング部 コンサルタント >
大学卒業後、現物資産による資産運用のアドバイザリー業務に従事。プルータス・コンサルティングに入社後、スタートアップから上場企業まで幅広い企業に対し、資本政策全般に関するコンサルティング業務を行っている。


溝江 晴子 < コンサルティング部 コンサルタント >
大学卒業後、証券会社にて企業の新規上場支援業務に従事。主幹事証券担当者の立場から企業の成長における資本政策の重要性を痛感し、より専門的な支援を行うためにプルータス・コンサルティングに入社。入社後はシード期のスタートアップ企業から上場企業まで幅広く資本政策に関与。
 

株式会社プルータス・コンサルティング 広報担当

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