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エクイティファイナンス

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2

第三者割当増資等で第三者評価の重要性が高まっているのはなぜか。

第三者割当増資等で第三者評価の重要性が高まっているのはなぜか。

「法務インサイド第三者割当増資、来月から規制強化」金融庁は2月から、上場企業が第三者割当増資を実施する際の情報開示規制を強化する。1株の価値が大幅に薄まるか、経営支配権が突然移る増資を対象に資金使途や出し手の説明を義務づける。開示内容に虚偽があれば課徴金支払を命じる。投資家の利益を損なう増資を厳しくけん制するのが狙いだ。(日本経済新聞平成22年1月18日)

記事のpoint : 第三者割当増資についての経営者の説明義務が強化される。

企業内容等の開示に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令が平成21年12月11日に公布・施行され、企業が増資などを行う際に提出する有価証券届出書については平成22年2月1日から適用されます。これにより、第三者割当増資を行う企業は、有価証券届出書に「発行価格の算定根拠及び発行条件の合理性に関する考え方」や「大規模な第三者割当の必要性」等を記載し、第三者割当増資の合理性や必要性に関する会社の判断について説明することが義務付けられます。その判断に際して、第三者による評価を取得した場合は、その内容を記載しなければなりません。今後第三者割当増資を行う企業の経営者は、その説明責任を果たすため、第三者機関に有価証券価値の評価を依頼するなどして、判断の客観性を担保する必要性が増したといえます。

改正のpoint : 取引所はすでに経営者の説明義務強化制度を運用中。

この法令の適用に先立つ平成21年8月~12月、各証券取引所においても増資の適法性や公正性を担保するため、それぞれの有価要件上場規定を改正して第三者割当増資における情報開示規制の強化を行った上、監査役の適法性に関する意見制度や第三者委員会などによる第三者割当増資の必要性・相当性に関する意見制度等を創設し、捨てにその運用を始めています。

第三者意見のpoint : 有価証券の公正価値を知らないと適切な意見は出せない。

監査役や選任された第三者委員会のメンバーは適切に有価証券の公正価値を把握した上で意見を出すことが要求されます。しかし、第三者割当で発行される有価証券は単純な条件のものだけでなく、様々な条件を絡み合わせた商品性のものが数多く存在します。その公正価値評価には、金融工学やファイナンスの極めて専門的な知識が求められるため、信頼される専門の第三者評価機関に評価を依頼することが必要となります。

取引所の第三者割当新ルール

・規制強化の背景

上場会社は会社法上、有利発行に該当しない限り、取締役会のみで新株発行を行い、特定の第三者に割当を行うことが可能です。この制度は変化してゆく経営環境の中で機動的に資金調達を行うことができ、会社にとって非常にメリットのある制度となっています。しかし、この制度は、取締役会の判断が妥当であることを前提としており、もしそうでなければ株主の関与なく、経営者の判断のみで株主の議決権や経済的利益を毀損させる可能性があります。そのような場合、株主には新株等発行の差止請求権が認められていますが、実行するには非常に煩雑な手続きを行わなければなりません。実際に取締役会の判断のみによる第三者割当増資は多く行われており、有価証券市場制度を維持するためにはこれに一定の歯止めをかける必要があります。以下に取引所の規制ルールと改正内閣府令の概要と今後の第三者割当増資における注意点を取りまとめました。

・第三者割当増資に関する新ルールの概要

① 上場廃止基準の整備
第三者割当において、議決権の希釈化率が300%を超えるとき等は、投資者の利益を侵害するおそれが少ないと取引所が認める場合を除き、その企業は上場廃止となります。
② 第三者からの意見制度
第三者割当において、希釈化率が25%以上となるときは、原則として、株主総会決議を行って株主への意思確認を行うか、または経営陣から一定程度独立した者による第三者割当の必要性・相当性に関する意見の入手を行わなければなりません。
③ 払込金額の算定根拠等の開示
上場会社が第三者割当を行う場合は、「払込金額の算定根拠及びその具体的な内容」を開示しなければならず、取引所が要請する場合は、払込金額が割当先に特に有利でないことについての適法性に関する監査役又は監査委員会の意見等を併せて開示しなくてはなりません。

・各取引所の第三者割当増資に関する新ルールの実施状況

取引所の規制ルールを背景になされた法令の情報開示規制の概要

・規制強化された背景

内閣府令の改正以前においても、上述の東京証券取引所有価証券上場規程などの一部改正以後、取引所により開示が義務付けられた内容については、有価証券届出書等にも任意として記載するよう財務局から要請されるというかたちで運用がなされていました。今回の改正は、この運用を法令として明確に義務としたものといえます。

・第三者割当増資に関する新ルールの概要

有価証券の発行が第三者割当に該当する場合には、有価証券届出書等において、割当予定先に関する情報、資金使途の詳細な情報、発行価格の算定根拠及び発行条件の合理性に関する考え方、第三者評価の内容、経営者から独立した者からの意見等を記載することが義務付けられます。
(法令参考URL http://www.fsa.go.jp/news/21/sonota/20091211-4/02.pdf)

新ルールにおける注意事項

新ルールの施行にあたり、第三者割当増資等を行うためには客観的な必要性・合理性が従来よりも強く要求されます。特段、新設された監査役・第三者委員会の意見制度は、その趣旨を全うするための大きな役割を担っていると考えられます。そのため、監査役・第三者委員会のメンバーは、増資の適法性等について意見を述べるにあたって必要となる情報を収集した上で、適正に判断を行うことが要請されているといえます。第三者割当増資における適法性、特に有利発行性の判断にあたっては、発行する有価証券の公正価値がいくらなのかという情報が必要不可欠となります。しかし、監査役・第三者委員会のメンバーは法律の専門家などで構成されていることが多く、金融商品の公正価値評価の専門家が入っていることはほとんどありません。新制度の趣旨からも、監査役・第三者委員会の責任の観点からも、評価に関する専門的な知識を有する第三者算定機関から評価を取得して発行する有価証券の公正価値を正確に把握した上で、実際の発行価格その他の条件と公正価値とを比較・検討して判断を行い、意見を述べることが必要となります。

 

以上

 

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