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情報発信 調査・研究

No.
88

平成29年度上半期における公開買付けの状況

1. はじめに

平成29年度上半期における公開買付けの件数は31件でした。
今年2月に「No.84 近年における公開買付けの状況」と題して平成23年から平成28年までの6年間における公開買付け事例の分析レポートを公表しました。本レポートは、その後平成29年上半期が終了したことから、今年の公開買付けの状況を中間的に経過報告することを目的としています。
結論としては、No.84のレポートで分析した平成28年の傾向が本年も引続き継続していることが判明しました。以下でその詳細を解説します。

2. 近年における公開買付けの件数の目的別推移

表1は、平成29年上半期(6月末まで)における上場株式の株券に対する公開買付けの件数を、買付けの目的別に示したものです。
<表1 平成29年6月末時点までの公開買付けの目的別推移>

表2は、同様の分類を平成23年から平成28年までを対象に行なったものです。
<表2 平成23年から平成28年までの公開買付けの目的別推移>

表2に記載の通り、前回の調査で特徴的であったのは平成27年の全体件数が96件と突出していたことです。これは他の年度と比べて自己株式取得の件数が相当程度多かったことによります。その背景は、日本版スチュワードシップコードと平成27年に制定されたコーポレートガバナンス・コードの影響から、企業の保有する余剰資金を株主に還元することが、資本効率を向上させる上で有効な施策として認識されるようになったことが一つの要因と考えられます。
本レポートの主題である平成29年上半期(表1)は全体件数が31件であり、昨年(平成28年)68件の概ね半分程度となっています。
また、全体に占める公開買付けの目的別の割合についても、平成28年と同様に、完全子会社化及び連結子会社による割合が6割超となっており、平成29年上半期について、全体の傾向に昨年との大きな変化はないと考えられます。

3. 近年の公開買付けにおけるプレミアム分析

表3は平成29年上半期における公開買付価格の市場株価に対するプレミアム及び日経平均株価の変動幅を示したものです。プレミアムは、公開買付届出書提出日の前営業日(以下、「基準日」といいます。)の終値及び基準日を含む直近1ヶ月、3ヶ月及び6ヶ月の終値単純平均値に対して算出したものです。自己株式取得を目的とした公開買付けについては、公開買付届出書に6ヶ月平均株価を記載していない事例が多いため、集計の対象外としました。
また、参考として同期間における日経平均株価の最小値及び最大値についても記載しています。
<表3平成29年6月末までのプレミアム平均推移>

※ 資本提携を目的とした公開買付けは1件あったものの、非上場会社に対するものであったためプレミアム分析の対象から除外している。

表4は、同様の分析を平成23年から平成28年までを対象に行なったものです。

<表4 公開買付価格の市場株価に対するプレミアム>

4. プレミアムの動向

平成29年上半期においては、MBOにおいては31%から37%、完全子会社化については23%から34%、連結子会社化については11%から20%の水準となっており、概ね平成26年から平成28年の間の水準となっていることが読み取れます。
前回レポートに、「公開買付けプレミアムは、株式相場が低迷しているときは比較的高率の、株式相場が活況を呈しているときには比較的低率のプレミアムが付されやすくなります。」と解説しました。平成29年上半期においては日経平均が18,225円から20,318円と、例年と比べて比較的高水準で安定しています。MBO及び完全子会社化の事案で平成27年及び28年と比較してプレミアムが低率となっているのは、このような背景が一因となっていることが考えられます。

5. おわりに

本シリーズでは、平成22年4月の第1回に「過去2年間の事例に見る公開買付け(TOB)と第三者割当」を取り上げたのを始めとして、過去7回にわたって直近の公開買付け事例の動向を調査・分析してきました。
今回の調査は、平成29年上半期においては、平成28年と概ね同様の傾向が継続しているという結果となりましたが、下半期に向けてもこれが継続するのか、変化が生じていくのかについて、また半年後に調査を実施し報告したいと思います。

以上

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