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M&A・組織再編

No.
106

「公正なM&A指針」後の独立委員会実務の変化(2020年2月28日号)

Topic. ► 「公正なM&A指針」後の独立委員会実務の変化

今回のPLUTUS NEWSでは「公正なM&A指針」後の事例を調査し、独立委員会実務が実際に変化しているかを分析しました。

 

1. 2019年6月28日 公正なM&Aの在り方に関する指針公表

2007年9月に策定された「企業価値の向上及び公正な手続確保のための経営者による企業買収(MBO)に関する指針」を全面的に改訂する形で、MBOにおける公正性担保措置に関する望ましいプラクティスの在り方が指針化されました。

 ① 特別委員会の構成員

特別委員会の構成は従来M&Aについて経験値が高く知見の豊富な弁護士や株式価値算定理論に長けた財務アドバイザーが選任される実務が定着しており近年の全事案でそのように運用されてきました。一方、今回の指針では『ベストプラクティスとしては、特別委員会は、委員として最も適任である社外取締役のみで構成し、M&Aに関する専門性は、アドバイザーから専門的助言を得ること等によって補うという形態が最も望ましい』とされています。

 ② フェアネス・オピニオン

独立第三者の専門機関が、想定される取引価格に対して公正性に関する意見を表明するフェアネス・オピニオンについて、『具体的な取引条件の対象会社の一般株主にとっての公正性であるという点において、株式価値算定書とは異なるものであり、対象会社の価値に関するより直接的で重要性の高い参考情報となり得るため、取引条件の形成過程において構造的な利益相反の問題および情報の非対称性の問題に対応する上でより有効な機能を有し得る』とされています。フェアネス・オピニオンを取得する実務は欧米では一般的であり、海外機関投資家からすると日本では取得されないことに対して違和感を持たれるとの声もあります。フェアネス・オピニオン実務のさらなる活用が期待されています。

 

2. 事例調査
指針公表後のTOBによる該当事例は、執筆時点(2020年2月21日)で18件でした。
今回は①-1 独立委員会の構成員、①-2 アドバイザーの起用、②フェアネス・オピニオンの取得 に焦点を当ててまとめています。

 

   ※1 取:社外取締役、監:社外監査役、弁:弁護士、会:会計士、金:金融機関出身者
     数字は人数を示す。
   ※2 FA:フィナンシャルアドバイザー、LA:リーガルアドバイザー
   ※3 取得主体を示す。

 

3. まとめ
本執筆時点の公表事例18件を分析したところ以下の傾向が見受けられました。
 
 ①-1 独立委員会の構成員
指針公表前は外部専門家が中心でしたが、指針に準拠して社外役員を中心に起用したと考えられる事例は12件でした。そうでない事例も社外役員が利害関係等の影響により適任でない旨を開示資料に記載するなど指針への配慮が見受けられました。

 ①-2 アドバイザーの起用
指針公表前は委員会がアドバイザーを別途起用する事例は極めて稀でした。指針公表後においては8件の事例で委員会が別途アドバイザーを起用していました。

 ② フェアネス・オピニオン
指針公表後においては7件のフェアネス・オピニオンが取得されています。フェアネス・オピニオンについては指針前後の具体的な比較が難しいですが指針も考慮して検討される事例は増加していると考えられます。

 

①-2委員会がアドバイザーを起用した8件のうち、②フェアネス・オピニオンが取得された事例をまとめると5件となります。委員会がアドバイザーを起用してより慎重にプロセス形成した事案では大半がフェアネス・オピニオンまで取得していたといえます。

 

4. おわりに
今回の調査を通じて、「公正なM&A指針」後の独立委員会実務に確実な変化が起きていることを確認することができました。委員会がアドバイザーを起用した事例(①-2)、若しくはフェアネス・オピニオンが取得された事例(②)という観点でいえば9件が該当しますが、弊社ではこのような事案の半数に関与している結果となっています。
第三者評価機関の役割が一層重視される中、引き続き公正なプロセスの実務形成に貢献できるよう取り組んでまいります。

 


株式会社プルータス・コンサルティング 広報担当

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