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134
上場維持基準充足のためのワラント活用事例のご紹介(2022年4月28日号)
Topic. ► 上場維持基準充足のためのワラント活用事例のご紹介
4月4日より東証の市場区分が変更となり、プライム、スタンダード、グロースの新しい3市場における取引がスタートした。それぞれの市場には従来の市場区分に比べ厳しい上場維持基準※1が設けられているが、一方で、経過措置を適用し、基準を充足しないまま上場を継続している企業※2も少なくない。

本稿では、上場維持基準を充足するための具体的なソリューションの1つとして、新株予約権(以下「ワラント」)を活用したエクイティ・ファイナンススキームをご紹介する。
ワラントは、行使価額が修正されない固定型ワラントと行使価額が発行後の株価に応じて修正されるMS型ワラントの2種類に大別される。これらを特定の投資家に対して発行し、当該投資家からの権利行使がなされると資金調達が進むスキームである。固定型とMS型の違いは以下の通り。

このワラントを上場維持基準の1つである流通株式比率の条件充足のために活用したZホールディングス株式会社(4689、以下「ZHD」)の事例をご紹介する。
事例紹介
ZHDの流通株式比率はプライム市場の上場維持基準である35%を下回っている(当時の流通株式比率は33.7%)ため、「上場維持基準への適合に向けた計画書」の提出・開示を行い、経過措置期間中に、流通株式比率35%以上の達成を企図して約760億円相当のMS型ワラントを発行した。
また、ZHDは親会社のAホールディングス株式会社(以下「AHD」)から自己株式の取得(自己株TOB)も発表している。
本ワラントが権利行使されると、自己株TOBにより取得した株式数と同数の自己株式が交付されるよう設定されている。つまり、流通株式数から控除される主要株主の持分を自己株TOBにより減少させ、本ワラントの権利行使を通じて、流通株式を市場に放出する仕組みだ。
同様のスキームを株式会社ZOZO(3092)も実施している。
このような第三者割当型のエクイティ・ファイナンスを実行する場合に、少数株主から差止請求の申立てがなされ紛争にまで発展するケースがあるが、プルータス・コンサルティングでは、紛争対応の出来る数少ない評価機関として、ファイナンスの実行を最後までサポート可能である。
➣紛争対応事例①:オートバックスセブン新株予約権付社債発行差止仮処分申立事件
➣紛争対応事例②:大王製紙株式会社による転換社債型新株予約権付社債の発行の妥当性を認める判決が確定
最後に
プルータス・コンサルティングは、資本政策の総合コンサルティングファームとして、顧客の課題解決のために幅広い提案を行っている。
新市場区分において上場維持を目指す企業に対しては、先述の内容も含めて、主に以下に挙げるソリューションがご提案可能だ。
①IR効果、時価総額向上に寄与するインセンティブプランの設計
②4,000社以上の顧客基盤を活用した資本業務提携のご提案
③顧客ニーズに合わせたエクイティ・ファイナンススキームのご提案
詳細については、担当者までお気兼ねなくお問合せください。
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