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【プレスリリース】J-KISS型新株予約権の評価業務の実施体制を強化
本サービス拡大の背景
スタートアップ企業においては、創業者が保有する普通株式に比べて優先的な条件が付いた優先株式による資金調達が良く使われていますが、優先株式は発行条件の交渉・契約書の締結等に時間を要することが難点になる場合があります。
特に、シード期の資金調達においては、比較的少額の金額をクイックに調達したいニーズがあり、それに応える調達手段として、J-KISSが用いられるケースが増えてきています。
J-KISSを取得した場合の会計処理に関しては、時価の算定に関する会計基準において、時価を把握することが極めて困難な有価証券の記載が削除されたことに伴い、上場企業である投資家においてJ-KISSの時価評価が必須となると考えられています。
このような流れの中で、弊社でもJ-KISS型新株予約権の公正価値評価のご依頼が増加しており、それに対応する本サービスの体制を強化いたします。
J-KISSの評価
J-KISSとは、投資家から新株予約権として資金調達し、一定期間内に次回の資金調達が実行されることを行使条件として、株式に転換するスキームです。
典型的には、以下のような条件が設定されるケースが多くみられます。
● 次回資金調達による転換期限は、1.5年後程度
● 次回の資金調達時にJ-KISSが転換される株式数 = J-KISS払込金額 ÷ 転換価額
● 転換価額は、以下のいずれか低い方
→ 次回の資金調達時に発行される株式の発行単価 × ( 1 – ディスカウント率(1))
→ 上限額(キャップ)(2)
(1) 20%と設定されることが多い
(2) 次回の資金調達時に発行される株式の発行単価が高くなればなるほど、転換価額が高くなり、転換できる株数が小さくなってしまうため、転換価額の上限額を設定してJ-KISS保有者が転換できる株式のミニマムの数を確保する働きをする。
● 転換前にM&Aにより会社を売却した場合には、発行価額 x [●]倍を返済してもらう
● 資金調達が発生せず満期を迎えた場合同額には、「発行価額 ÷ 上限転換価額」で得られる数で普通株式に転換
上記のように、J-KISS出資時にはバリュエーションの交渉をすることなく、次の資金調達時の発行株価に応じて発行株式数が決まるので、優先株式に比べて簡易な手続きで資金調達が可能となります。
もともとバリュエーションの交渉の必要がないのがJ-KISSの一つの特徴と考えられますが、前述の通り上場会社がJ-KISSを引き受けた場合には、投資時及びその後の会計処理において会計監査人から時価の検討を求められることがあり、最近は弊社でもこのような目的でJ-KISSの第三者評価の依頼を受けるケースが多くあります。
J-KISSの公正価値評価は実務において確立した手法がないのが現状ですが、ファイナンス理論からJ-KISSは対象会社に対する貸付債権(+ コールオプション)のようなポジションになるため、弊社ではJ-KISSの価値を主にオプション価格法(the option pricing method)等を用いて評価しており、その評価結果が弊社のクライアントの会計処理でも採用されているケースが増えてきています。
このような金融商品の会計処理目的の評価にあたっては、監査法人との対話が重要であり、海外でのプラクティスも参照するなどして外部への説明可能性を高めることも肝要です。
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