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【プレスリリース】創業期のスタートアップ企業向けに新株予約権の設計・評価に関する優遇プランの提供を開始
当社は、かねてよりスタートアップ企業から上場企業に至るまで多様なステージの顧客企業向けにストック・オプションを中心とした資本政策に関するコンサルティングサービスを提供しております。
先般、コタエル信託株式会社(東京都千代田区。代表取締役社長:松田良成。以下「コタエル信託」といいます。)が、時価発行新株予約権信託®︎(一括交付タイプ)をリパッケージした「有償SO信託®(創業支援プラン)」の提供を開始しました。そこで、当社はこれと連動して創業期スタートアップ向けに新株予約権の設計・評価に関する「創業支援プラン」を提供することとしましたので、ここに公表いたします。
時価発行新株予約権信託®(信託型ストック・オプション)とは
信託型ストック・オプションは、役職員等に渡すべき新株予約権を、一旦信託の受託者に対して発行することで信託の中にプール(冷凍)しておき、貢献に対する実際の実績や期待可能性を見積もった上で、後日、役職員等に交付することを可能とする画期的なインセンティブ・スキームであり、2014年に当社とコタエル信託の創業者である松田良成弁護士と共同して開発し、株式会社ヘリオスが日本で初めて導入しました。
その結果、当社が関与した信託型ストック・オプションの発行企業の上場承認事例は累計48件※に上り、審査上の問題によって抹消されたことはありません。
一方、当社が関与しなかった信託型ストック・オプションにおいて、上場承認前の廃止事例が立て続けに発生していることから、本スキームの導入は容易ではないことが周知され始めました。
※ 他社による信託型ストック・オプションの上場承認事例で有効に存続しているものは1件のみ(当社調べ)であり、上場承認事例50件中48件(96%)が当社の関与する信託型ストック・オプションになります。
コタエル信託の「有償SO信託®(創業支援プラン)」について
コタエル信託は令和4年8月10日付で、設立後2年以内の企業のうち、一定の条件を満たすものに対して、信託型ストック・オプションの導入後最長2年間のキャッシュアウトを極小化するプラン「創業支援プラン」を提供することを公表しております。
これは導入直後から役職員等に新株予約権を交付するオペレーションが発生しにくいと考えられる創業期スタートアップ企業向けに、十分な資金調達が行われるまでの期間として最長2年間が確保できるように配慮されたものです。創業期スタートアップにとっては、将来に向けた採用・役職員のモチベーションアップに向けた強力なツールである信託型ストック・オプションをいち早く入手するために有効な選択肢となるものと考えております。
当社の創業支援プランについて
当社は従来から顧客企業の規模の大小に関わらず、原則として一律の料金体系で信託型ストック・オプションの導入を希望される顧客企業向けに公正価値の算定業務を提供してまいりました。
しかしながら、日本経済を支える次世代の担い手としてのスタートアップ企業に対して出来る限りの支援を行うため、信託型ストック・オプション導入に向けたハードルを下げることが当社にとっての社会貢献活動になるとの結論に達しました。したがって、この度、有償SO信託®(創業支援プラン)の適用対象企業に対して、新株予約権の設計・評価に要するコンサルティング報酬を最大40%程度減額することになりました。
適用対象となる企業は、コタエル信託の創業支援プランと同様に「設立後2年以内の企業であり、設立時を含み、導入時までに調達した資本性資金の合計額(新株予約権や転換社債を活用したエクイティファイナンスを含みます。)と累計連結売上高のいずれも1億円を超えない企業」とします。
これにより、創業期スタートアップ企業が信託型ストック・オプションを導入する場合、(株価算定が必要なケースを除き)導入時の発行会社のキャッシュアウトが最小で162万円(税別)で収まることとなりますので、創業期スタートアップ企業が導入しうる他の信託型ストック・オプションのアドバイザー報酬に比べて格段に安価で高品質な信託型ストック・オプションの提供が可能になることになります。
民事信託による信託型ストック・オプションに対する懸念への対応
当社は元々、信託型ストック・オプションの有用性が社会に認められるようになるまでの間、信託銀行や信託会社が受託者とならない(導入企業の顧問税理士等が受託者となる)民事信託という形態で時価発行新株予約権信託®の導入支援を実施してまいりました。
これは信託銀行や信託会社が継続して信託型ストック・オプションの受託をしない状況が続いていたことから、このスキームを世に広めるための現実的な唯一の選択肢であったためです。
しかしながら、信託財産たる新株予約権を預かり、適切に納税等を行った上で受益者に対して新株予約権を交付するという重大な義務を伴う受託者の業務について、受託者とクライアント企業の関係変化等により連絡が取れなくなるなどして実施に懸念が示されるような事例も発生し、当社はより安定的な仕組みの提供ができないものかと常々模索しておりました。
この点、共同開発者である松田良成弁護士(第二東京弁護士会:登録番号30038)がコタエル信託を創業し、既存の時価発行新株予約権信託®導入企業向けにもコタエル信託のサービスを提供可能とする旨公表したために、当社にとってはこの民事信託における受託者問題は解決したといえます。
しかし、十分な知識・経験を有しないアドバイザーによって、適切でない信託型ストック・オプションの表面的模倣という形でこの問題が残存し、上場審査の過程で廃止させられる他社による民事信託の信託型ストック・オプションが20件以上も続出した結果として、スタートアップ業界において社会問題にまで発展したことについては、当社としても遺憾に感じるところです。
※当社調べ。上場時の標準的なキャピタルゲインのプール額である5億円~20億円と想定すると、逸失キャピタルゲインの総額は相当な金額となるものと推測されます。
民事信託による信託型ストック・オプションの廃止事例では実際に専門家から①税務申告の懈怠、②不適切な算定・事業計画の不合理な改変、③信託法の趣旨に反した信託契約、④信託業法違反といった問題の存在が指摘されているのであって、かかる状況の鎮静化に向けて業界全体が真摯に取り組まない場合には、スタートアップ企業へ向かう人材流入が滞ったり、スタートアップ企業の組織体制構築に重要なインセンティブ・プランが信頼を失ったりするなど、スタートアップ企業の活動を阻害する大きな要因と発展しかねません。
加えて、2021年8月に国際的なマネーロンダリング規制に関する政府間会合であるFATF(金融活動作業部会)が第4次対日相互審査報告書において、民事信託にはそもそも実質的支配者の確認等を当局監督下の金融機関・信託会社が行わないなど制度悪用に対する脆弱性が認められると述べたことにも留意する必要があります。
当社としては、コタエル信託の提供する「有償SO信託®(創業支援プラン)」とともに、本「創業支援プラン」が、まだ十分な情報を得られていない創業期スタートアップ企業が信託型ストック・オプションを導入する際に、冷静な判断の一助となることを期待しております。
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