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エクイティファイナンス

ライツ・オファリングの増加と今後の展望

I.増加するライツ・オファリング

最近、上場企業においてライツ・オファリングを実施する事例が相次いでいる。日本におけるライツ・オファリングの事例としては、2010年3月に株式会社タカラレーベンが本邦初の実施を発表して以来、約2年半の間、事例が見られなかったが、2012年10月に株式会社エー・ディー・ワークスが第2例目のライツ・オファリングを発表したのを皮切りに、2013年に入って既に8件のライツ・オファリングの実施が発表されている(2013年6月14日現在)。また、コミットメント型ライツ・オファリング1) 行使期間中に行使されなかった新株予約権を証券会社等の金融機関が引き受けて行使することを約するもの。この手法によれば、発行会社は発行時点で資金調達額を確定することができるメリットがある。を採用する事例(株式会社アイ・アールジャパン 2013年4月12日発表)も現れ、その趨勢が資本市場の注目を集めている。

II.ライツ・オファリングとは?そのメリットは?

ライツ・オファリングとは、株主割当てによる新株予約権の発行と当該新株予約権の上場とを組み合せた資金調達手法である。株主割当てによる新株予約権は、既存株主が権利行使をすれば持分の希薄化を回避できる点にメリットがある。一方、新株予約権の上場は、権利行使による株式の追加取得を望まない株主は市場売却により経済的利益を確保することが可能となるとともに、株式取得をしたい投資家が市場から新株予約権を取得し権利行使することにより資金調達が進むことが見込まれる。

III. ライツ・オファリングの増加の原因と今後の展望

1. ライツ・オファリング増加の原因と効果

日本でライツ・オファリングが最近増加している要因としては、タカラレーベンやエー・ディー・ワークスの事例でノンコミットメント型においても9割以上の権利行使がなされ、資金調達が概ね成功裡に終わったことにより、ライツ・オファリング導入当初の懸念事項であった十分かつ確実な資金調達が図れないという発行会社の懸念もある程度は緩和された印象があることが考えられる。
なお、タカラレーベンやエー・ディー・ワークスの事例は、筆頭株主の持株比率がそれぞれ36.61%、42.08%と比較的高く、ノンコミット型のライツ・オファリングであったものの一定程度の権利行使は当初から見込まれていたといえる。この点、最近実施が完了したクレアホールディングス株式会社の事例(2013年3月15日発表)が注目される。当該事例では筆頭株主の持ち株比率が6.26%と少ないにもかかわらず、付与された全新株予約権の81.67%が権利行使されている。現在公表されている他社の事例でどの程度資金調達が成功するのかが引き続き注目されるところである。

2. ライツ・オファリングは有用な資金調達か

発行会社の時価総額に比して多額の資金調達を行う場合にもライツ・オファリングは有効な手段であるとも考えられる。2013年6月14日現在までに発表されている10事例をみると、アイ・アールジャパンの事例を除き、新株予約権が全て権利行使された際に調達できる金額は、発表日の時価総額に対して約25%~60%程度となっている。一方で第三者割当てにより25%以上の希釈化を伴う資金調達を行う場合、取引所の上場規程や金融商品取引法により、第三者割当ての必要性及び相当性に関する第三者意見の入手や株主総会決議等の追加的な手続きを求められる。
上記の観点を総合すると、いわゆるオーナー企業で時価総額に比して比較的大規模の資金調達を行うような場合、ライツ・オファリングは公募増資や第三者割当増資と並ぶエクイティ・ファイナンスの有力な選択肢となりうる可能性をもつ。
もっとも、資金調達に長期間を要する点、資金調達の不確実性、発行コストが第三者割当増資に比べて相当高額となる点はライツ・オファリングの大きなデメリットと考えられる。資金調達手法の選定にあたっては、企業の事業計画、設備投資計画や資本政策、資金調達コストを総合的に考慮し、いずれが企業のステークホルダーにとって最適な手法であるのか慎重な判断が求められる。

以上

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1. 行使期間中に行使されなかった新株予約権を証券会社等の金融機関が引き受けて行使することを約するもの。この手法によれば、発行会社は発行時点で資金調達額を確定することができるメリットがある。

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