サービス

■ 株式報酬型ストックオプション


 

 近年の会社法改正に伴い、役員報酬に関する会計及び税務が様変わっております。この制度改正により、役員報酬制度そのものに対する株主の監視も強化されてきており、旧態依然の年功序列的な役員報酬制度から、業績連動報酬制度の採用などパフォーマンスを重視した役員報酬制度に移行する企業が増えております。

役員報酬制度の中でも、役員退職慰労金制度は年功序列的な役員報酬制度の代表例ですが、それ故に役員退職慰労金制度を存続させている企業は、株主軽視の企業とみなされるおそれも出てきております。このようなことから、役員退職慰労金制度を廃止し、株式報酬型ストックオプション(1円オプション)による役員報酬制度へ移行する企業が増加してきました。

 

制度改正の経緯

・平成18年施行の会社法による役員賞与の取扱いと会計処理
平成18年会社法施行から、役員賞与は、役員報酬とともに職務執行の対価として会社から受ける財産上の利益として整理され、定款に報酬等に関する一定の事項を定めていないときは、株主総会の決議(委員会設置会社における取締役、会計参与及び執行役については、報酬委員会の決定。)によって定めることとされました。
この会社法の取扱いにより、企業会計基準第4号「役員賞与に関する会計基準」が平成17年11月29日に公表され、役員賞与は、どのような場合でも費用として計上することになりました。この会計基準の背景には、役員報酬と役員賞与とを区別して考える意味がなくなり、従来の役員賞与は業績連動型の役員報酬と同様、職務執行の対価として考える旨の論議がありました。

・業績連動型報酬を重視する傾向
役員賞与を利益処分とする過去の取扱いは、獲得した利益は、株主に対する配当とともに、役員も賞与として分配を受けるといった考え方が根底にあったものと考えられます。しかしながら、株主から経営を委託された役員が利益の分配に預かるとの発想は、所有と経営の分離といった株式会社の基本的仕組みから乖離した考え方であり、投資家のガバナンスが厳しくなってきた経営環境では、通用しなくなってきております。
それ故に、獲得した利益を結果的に役員賞与として分配するのではなく、事前に株主と役員との間で納得された条件による業績連動型報酬を採用するのが自然な考え方であり、この業績連動型報酬を重視する傾向は、今後さらに強まるものと考えられます。

 

役員退職慰労金制度が廃止傾向にある理由
役員報酬をめぐる一連の制度改正により、役員報酬の本質を考える機運が高まっております。旧態依然の年功序列的な役員報酬制度から、業績連動報酬制度の採用などパフォーマンスを重視した役員報酬制度に移行する企業が増えております。
役員報酬の中でも、退職慰労金制度は、役員在任期間に応じた算定基準をベースにしており、旧態依然の年功序列的な役員報酬制度の代表例になっております。
株主のガバナンスの観点からは、企業価値を向上させるインセンティブを役員に与えることが重要な関心事であり、役員退職慰労金制度が、株主の目線から受け入れがたいのは自明の理であります。
また、役員の立場からも株主の目が厳しくなったことにより、退職時の支給承認をする株主総会で否決(不支給)されるリスクがあり、さらに、退職時における会社の業績不振により、積み立てられてきた額を受け取れない事態も想定されます。

 

役員退職慰労金制度の代替案
上記のように、業績連動とは言い難い役員退職慰労金制度を採用した役員報酬制度の見直しが求められております。この退職慰労金制度は、業績連動とは真逆のいわゆる年功賃金であり、高度経済成長時代には受け入れられていた手法でありましたが、上記の視点を持つ株主・経営者から見れば受け入れがたい制度であります。
そのため、退職慰労金制度を見直しする必要がありますが、まず、この役員報酬制度そのものが有する性格を考え、その代替案も考えます。
まず、報酬制度を固定or変動、短期or長期の2軸で4つに区分してみると、退職慰労金制度は、固定の長期報酬に該当します。この退職慰労金制度を廃止し、他の選択肢に振り分けることを考えると、


① 固定の短期報酬(基本報酬に上乗せ)
② 変動の短期報酬(賞与に上乗せ)
③ 変動の長期報酬(株式報酬型ストックオプション)

に分けられます。
ここで、①に関しては、退職慰労金分を前倒しで月額報酬にしているだけであるため、根本的な改善になっていないという見方ができます。
また、②に関しては、給与所得扱いとなり、退職所得となる退職慰労金の税のメリットが得られないことが考えられます。
③に関しては、一定の条件を満たしたストックオプションは、退職所得と認められるため、税メリットを享受することが可能であり、また、株価に連動した業績連動型でもあるため、経営者にも、企業価値向上のインセンティブが働く報酬制度であると言えます。

これらの状況により、今年度の株主総会でも、役員退職慰労金制度を廃止し、それと同時に現在最も有効な代替手段である、③の株式報酬型ストックオプションの発行の承認を得る企業が多数見受けられます。

 

以上のように、株式報酬型ストックオプションは、退職慰労金制度のデメリットをカバーできる業績連動型報酬制度であり、株式報酬型ストックオプションに変更することにより、企業価値向上と役員報酬向上へのインセンティブが働き、経営者が株価上昇に積極的になるという特徴があります。
また、新株を発行し、費用計上することにより、直接的な現金の流出にはつながらないことや、付与対象者としても毎年割り当てられるため、不支給のリスクがないこと等のメリットも考えられる制度であると考えられます。



こちら 事例へ
こちら お問い合せ